劇場――又吉直樹   新潮社 初出「新潮」2017年4月号

 著者は1980年大阪府寝屋川市生まれ。

 吉本興業所属のお笑い芸人。コンビ「ピース」として活躍中。

 2015年「火花」で第153回芥川賞を受賞。

 本作品は「火花」に続く2作目で、又吉の作家としての能力が試されるものとして期待されていた。

 大雑把なあらすじは、売れない劇作家である主人公永田は、街でナンパした女の子沙希と付き合い始めて、恋愛によくあるいろんなことを経験する恋愛小説である。

 一方、劇作家として周りの人との付き合いを扱った、人生小説でもある。

 恋愛小説としては、ありふれている。例えば、ヒモになった永田が劣等感と嫉妬から沙希を酷く扱い、沙希は疲弊してしまう。沙希は田舎の実家に帰るという。実家生活で、沙希はある程度回復し。田舎に就職し定住することを決心する。東京の同棲していた部屋を片付けに上京した時の、二人の会話が少し泣かせます。

 主人公の永田は著者に重なっているいるように読めます。「ダメ男」ジャンルの王様である「太宰治」に倣ったが、結局超えることが出来なかった小説なのでしょう。

 劇作家としての人生小説としては、主人公の嫉妬心が表に出すぎて、気持ち良くは読めなかった。周りの演劇関係者との罵り合いが主体で、内容に乏しいものになってしまった。もっと、脚本そのものや劇そのものの内容が議論され、「作中劇」の描写を具体的に描かれていれば、もっと良い人生小説になったと思います。

巷では評判が良く、またベストセラー小説となっているようですが、有名人の本だからという点が大きいと思います。

 評点  ☆2つ