数日前に勢いに任せて赤い絵を描いたあとぼくは筆を持っていない。その絵を描く時おなじアトリエにメロンの静物を描くために台の上においていたが冷蔵庫に戻した。描く気をなくしたのである。

そして、「黒い雨」を穴のあくほど読んでいる。今朝はインターネットで広島、長崎の原爆の写真を見ていた。

今充電しているのでスランプではない。いつでも筆を持てば描ける状態である。イメージは持っている。そのイメージを表現できるデッサン力も自分なりにあると思う。

妻に言う。

「ぼくは今日も絵を描かないよ。原爆の絵を描くつもりで充電中だ。」

「ここはタイなのよ。誰もそんな絵なんかみてくれないわ。」

「見てくれなくともいいよ。ゴヤが「戦争の惨禍」と言う銅版画シリーズを描いたが、出版は彼が死んで50年後にされたんや。それをすぐに発表すれば弾圧されるのがわかっていたからゴヤはかくしていたのだよ。」

ゴヤは有名な人だからいいけどあなたは無名よ。何のために描くの。」

どういえばいいのかな。歴史の証言と言うことにするよ。絵を描くというのは見せるためではないと思うよ。自分の中に表さねばならないものが突き上げてくるから描くので、それを人が見る見ないは関係がないよ。」

「でもねえ、核兵器」反対、戦争反対と人に訴えるために描くのだったら、見てくれる人がなければ意味がないわ。」

だが、ぼくが今から描こうとする絵は何年もかかるか藻知れない。しかし現実は朝鮮戦争が核戦争で始まるならば数日で終わっているだろう。ぼくが筆を持つ前に、日本も韓国も北朝鮮も焦土になり、何十万、何百万の人びとの黒焦げ死体が大地を埋め尽くしているかもしれない.そうでなければ幸いだがまったく解らない。

日本政府が韓国にいる日本人に有事には核シェルターに入るか、日本に近い海岸で船に乗って避難せよといっている。日本に逃げても日本が核で壊滅していたら意味がない。

又総理は各都道府県に有事に避難するように指導せよという通達を出している。日本政府ですら見通しがたたないのである。

すでに韓国にアメリカの特殊部隊が数千人上陸し待機している。最新鋭の原子力潜水艦がインド洋からフィリッピン、そして北朝鮮海域に向かっている。いつでも戦争ができる準備ができたのである。

中国やロシアがアメリカの侵略戦争にどのような立場をとろうともアメリカは単独でも攻撃するとトランプが言ってている。日本政府はアメリカとともに攻撃に加わるのは自明である。

このような状況に対して北朝鮮は米軍の攻撃が始まるか、始まる前に韓国と日本を核攻撃すると再三言っているし、それに対して米軍も核で応じる。

一方ロシアは北朝鮮国境に軍を集結させている不気味な情勢である。

この戦争を未然にするにはアメリカが北朝鮮の攻撃をやめる以外にない。アメリカが手を引けば事態は収まるが、それは淡い期待でしかない。

たとえ核戦争が回避されても、逆に行われてもぼくが核に反対する絵を描くことには変わりはない。世界の核兵器がなくなるまでその課題がある。

ここに広島の原爆の写真を入れておこう。たった1発の原爆が広島全市を焦土にし、市民の3分の1が1945年8月6日に即死し、8月7日に3分の1が焼け死に、8月7日以降生き延びた人びとのほとんどが負傷し、その後も死んでいったがその数はわからないのである。そしてその多くは老人と女子と子供である。なぜなら当時の多くの男は戦場に動員されていた。

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